「弟さんも?」

「はい……」

 一度に2人の子どもが行方不明になって、すがる場所もなく彼女はどうしていいか解らずにいるのだろう。

 うなだれて弱々しく溜息を吐く。

「あっ」

 母親は目眩に体を傾け、それをベリルが優しく受け止めた。

「大丈夫ですか?」

 わざとらしくベリルに倒れ込んだ気がしないでもないが、彼は無表情に気遣う声をかけた。

「ありがとうございます」

 ふらつきつつも、やたらと接触している感がある。

 むろん、ベリルはそれにもまったく気がつかない。