先生なんて言わせない


このあたしがリレーのアンカーなんてバカにされないだろうか?


呆れられないだろうか?



「ホームルームっていうと、体育祭のことか?」


佐野先生が急にニヤッと意地悪そうな表情を浮かべた。



何かその顔も嫌だ。



「まさか体育の成績が2のおまえが体育祭のトリを飾るリレーのアンカーとはなぁ」


「な…、何で知ってるの!?」



成績は5段階評価だ。


保健のテストと授業態度は良かったから、実技テストがボロボロでもなんとか1はまぬがれた。



でも、そんな成績を知っている佐野先生にだけはリレーのことを知られたくなかった。



「俺は副担だし、体育教師だからな。五十嵐先生に聞いた」


五十嵐先生ってば、余計なことを~!!


あたしは心の中で叫んだ。



「でもまぁ、逃げ足の速いおまえなら、走り込めばなんとかなるんじゃないか?」