「ええっ。菌は??」

「それは、あいつの作った方だって言ったから、本当にやっちまっても何も起こらない」

「何で?」

「だって、あいつ、増菌培地で通常の時間の倍増菌したっていってたろ?」

「そだね」

「増菌培地っていうのは、菌を増やすためのエサ培地なんだ。

エサを食い尽くしたら、今度は一気に減っていくんだ。

つまり、決まった時間以上、おいておくと自滅しちゃう。

だから、菌としては無害なんだ」

「そうなの?」

ちょっと、ホッとしたかも。

「けど、培地ごとぶちまけたら、

若干毒物も入ってる培地だったりするし、汚染されるのに違いはない。

やってるやつも危険人物だから、やっぱり捕まえて止めなきゃ」

「わかった」

メール、しよう。

『水道施設が危ないかもしれない』

送信。

がらんとしている、建物を、飛び出した。

「どうしよう。マシンガンぶっ放すんだっけ?」

アユタはあたしを見た。

「そんなもん、どうしろっていうんだ」

考えて、やっぱりメールした。

『あと、マシンガンを持った怪しい連中が、街を血の海にするつもりらしいのだけれど、その前に、捕まえられるかな?』