仕方なく、とっさに上に上がる。

こっちは、ミコの私室があるっていうのに。

どうしよう。

とりあえず、そこは通り過ぎて、“祭壇”のある部屋に入る。

“お祈り”かミコの“お言葉を聞く時間”以外はだれもいないはずだ。

けれど、そこが開いているのは意外だった。

中に入って、あたりを見回す。

十数畳の、何もない部屋。

ただ、奥の壁を赤いベルベットのような布が、覆っているだけ。

ミコが、あの前で“お言葉”をたれるのだ。