そんな伝九郎と隼人とに視線を送っていた円士郎は、渡世人たちと共に廊下を奥へと去っていく間際、これは上役としての命令だと言って、隼人に、
「死ぬなよ」
と、言葉を残した。
己は隼人のことを気に入っているのだからなと、御曹司はそんな風に念を押して、
隼人は伝九郎から視線を逸らさぬまま口の端だけで笑った。
普段は煩わしいだけの他人の心を、この時ばかりは有り難いと感じた。
誰かにそのように思ってもらえることが、今は少しだけ心強く、少しだけ嬉しかった。
「死ぬなよ」
と、言葉を残した。
己は隼人のことを気に入っているのだからなと、御曹司はそんな風に念を押して、
隼人は伝九郎から視線を逸らさぬまま口の端だけで笑った。
普段は煩わしいだけの他人の心を、この時ばかりは有り難いと感じた。
誰かにそのように思ってもらえることが、今は少しだけ心強く、少しだけ嬉しかった。



