かげろうの殺しかた

その後、少女の話を聞いてみれば、おつるぎ様が思い詰めていたのはどうやら円士郎との痴話喧嘩のようなものが因らしく、彼女を探して河原にやってきた円士郎と少女は隼人の見ている前で仲直りするどころかまた派手に喧嘩をやらかして、少女は泣きながら屋敷へと走り去り、円士郎は悲嘆に暮れていた。

実にばかばかしいとあきれ果てながらも、このように互いに時間を重ねてこの歳まで成長を共にしてきた彼ら二人が微笑ましくもあり羨ましくもあった。



隼人と加那には、こうやって成長して喧嘩をする時間は与えられていなかった。



ざあざあと、花菖蒲の上で雨粒がはぜている。

雨に打たれて揺れる想思鼠色の花も、今年はそろそろ見納めになりそうだった。