かげろうの殺しかた

そう言えば……と思い出す。
人を斬ったことがあるのかと円士郎に尋ねた時、御曹司はこの少女もまた、自分と同様に蜃蛟の伝九郎と刃を交えたことがあると語っていた。


興味を動かされた隼人の胸の内を見透かすかのように、

「私に似た剣を使う人でした。伝九郎自身も言っていました。私と彼は似ていると」

彼女はそんな言葉を口にした。

「体格なら円士郎のほうが近いかもしれないですが……剣の使い方──戦い方は、私と似ています」

少女は真剣で、必死だった。


まるでたった今自分の身の上に起きた何か嫌な出来事を、刀による斬り合いというおおよそ有り得ない方法でまぎらわせて、忘れようとしたがっているかのようだった。


普段ならば、こんな申し出など絶対に受けるわけがなかった。

しかしどうやらこの時の隼人は、加那を弄んだ蜃蛟の伝九郎という憎い敵の名を耳にして、正常な理性が働かなくなってしまっていたらしい。


この少女は、人を斬ったことがあるのだ──

と、不意にそんな知識が脳裏に浮かび上がった。