かげろうの殺しかた

アヤメの花かと問うと、

加那は、このように湿った陸地に咲くのは花菖蒲ですと微笑んだ。


アヤメとかきつばたと花菖蒲の違いがわからない隼人に、加那は

アヤメはもっと乾いたところに、かきつばたは水に浸かるところに生えて、卯月の終わりから皐月の頭には終わるのだと教えてくれた。

五月雨に打たれて、水無月まで咲くのは花菖蒲だと。


周囲で雨に濡れてそろそろ季節を終えようとしている想思鼠色の花は、だから花菖蒲なのだ。
隼人は懐かしく思い出した。

ごうごうと川の音が聞こえる。

こんな会話をしたのもはるか遠い昔のことで、やはり何もかもが変わってしまったように思えた。