からっぽな街

肝試しの夜、出発前に、ゴリさんによる、恐い話があった。
「あのな、もう、十年も前の本当の話。このキャンプの参加者にな、夜中に脱走しようと考えている小学生の男の子が二人いたんだよ。だから俺達は、必死に見張ってたんだよ。ところがだ、夜中になると、沢の、奥の斜面で、男の子達の叫び声が聞こえたんだよ。どうした?と思って、近寄ってみると、山の斜面に、あるはずのないドアがあったんだよ。それで、そのうちの1人が、斜面にぶらーんぶらーんと開いているドアの前で、腰を抜かして立てないでいたんだ。」
子ども達は、しんと静まり返り、話に引き込まれるように、近くの子と手を繋ぎながら、ゴリさんの話を聞いていた。
「それで、あんまりその子が震えているから、どうした?と、思って、降りていったんだ。そしたらさ、1人、いないんだよ。一人。逃げ出したのは、二人なのに。」
子ども達は、恐ろしさに緊張し、ごくりと唾を飲み込む。
「腰を抜かした男の子が、震えながら何もしゃべれねーで、そのドアを指差すんだよ。それで、俺、振り返ったんだ。すると、ドアの奥は、真っ暗闇で、上りなのか下りなのかわからない階段があったんだよ。」
女の子は、目を閉じている子もいる、途中から、恐ろしくなった子は、耳を閉じて呪文を唱える子も居た。