からっぽな街

「ぽく!だから、明日、帽子探すってば!夜だから危ないもん!みんなの所、帰ろ!」
「うぅっ。ううっ。…帽子。」
涙をぽろぽろと零しながら、訴える。
「ぽく、だから、ダメだってば。明日にしよ。ほら、みんなのところ戻るよ。」
ぽくの手をひくと、ぽくが、その手を、初めて、振り払った。
「うぅっ。ううっ。やだー!あの帽子は、おでのお父さんが勝ってくれた帽子なんだ!」
鼻水と涙を、どろどろと零しながら、全身で泣きじゃくる。
「あれは、お父さんが買ってくれたものなんだ!ううぅっ。ううっ。」
リリリリリッ。と、秋の虫の鳴く声がする。山の奥のほうでは、帰るの、泣き声。
「ぐっぐっ。うっうっ。おでの、おでの、お父さんは、うっっ。し、死んだんだ。」
ううっううっ。と、お父さんのことを思い出しながら、泣き出すぽく。
「だから、もう、うっ、うっく、もう、うっっく、もう、買ってもらえないんだっ!うっううっっく。おでの、おでの、お父さんが買ってくれた、帽子なんだっ。ぐっ。ううっ。」
肩を怒らせて泣いていた。向こうの方で、キャンプファイヤーの点灯式が終わり、炎が見えていたけれど、それは、もう、どうでも良かった。