からっぽな街

「おでが、持つよ。」
ぽくが、そう言って、私の手から懐中電灯を持って、足元を照らしてくれた時は、それはもう嬉しくてたまらなかった。
「ほら、行っておいで。」
「絶対、ここに居てね。」
「だいじょうぶ。話してるから、ほら、行っておいで。」
夜のトイレは恐い。水洗便所であっても、屋根があっても、そこに一つ電灯が付いていても、それでも、暗い外にあるので、いつもと違う感覚がひどく、恐ろしいものに感じた。
「ゆんー。居るー?」
「はいはい。ここに居るよ。」
ドアの中で、おしっこをしながら、ぽくが言う。女の子みたい。まだ、子どもなのね。
「ゆんー?なにしてるー?」
「さっきと同じところに座って、お外を見てるよ。」