からっぽな街

「ええー。つまんねー！俺、いっちばーん！」
準備体操をしてからと、さっきトックが言っていたのに、話を聞いていないきらりは、川に向かって、走り出した。
「こら！きらり！」
後ろから、きらりを呼び止めたものの、きらりは、聞かず、どんどん走ってゆく。

「止まれ！きらり！」

山が動くような大声で、ゴリさんが怒鳴った。さっきまで、ざわざわとしていた、子どもも大人も、一瞬にして、静まり返った。
きらりは、川の前寸前で足を止め、しゅんとしてしまっている。ゴリさんは、どすどすと、きらりの側へ歩いて行き、歩きながら、また怒鳴る。
「きらり！お前、さっき、とっくの話、きちんと聞いたか！準備体操をしてからって、言っただろっ！いつまでもふざけてばっかりじゃ、ダメじゃないか！」
ジャージのハーフパンツから剥き出しになった、黒く焼けた筋肉質なふくらはぎ。