からっぽな街

「じゃあ、先に行ってるよー。」
がばりと、寝袋から、慌てるように声を出す。
「待って!私も行くー!」
飛び起きて、リュックサックをあさり、タオルと歯ブラシを取り出す。
「はははっ。ゆっくりでいいから。」
「待って、行かないでよー。」
慌てて、走ってくるニケ。
「ひゃー。寒いねー。夏じゃないみたい。」
三人で、外の水道へ行き、朝の山を見ながら、歯を磨いた。
いい天気。本当に、山へ来たんだ。遮るものが何も無い山の中では、視野が広くなる。山は、どこまでも、広がっていた。
木の階段に腰掛けて、歯を磨きながら、しみじみとした。
「リッツは?」
歯ブラシを口の中で動かしながら、ニケが言った。
「ああ。そういえば、いないね。先に起きて、歯を磨きに行ったんだよ。どっかにいるんじゃない?」
ちらちらと、辺りを見回す。後ろから、だだだだだと、足音の近づく音がして、
「ゆんー。」
突進するように背中に、リッツが抱き付いてきた。
「わあ。」
「おはよー。」
リッツは、元気がいっぱいだ。