からっぽな街

「じゃあ、バスは一号車ですので、腕に赤いシールを張ってもらってください。それから、案内係りに従って、移動して下さい。」
隣で控えているシール係が、のぶぶの小さな細っこい肩に赤いシールを貼る。
シール係が、話しかけているのだが、のぶぶは、まだ緊張した顔で、母親の手を握ったままだ。
のぶぶを先頭に、列になった子ども達の受付を次々と済まして行く。
「おはようございます。お名前をお願いします。」
これをずっと、繰り返した。帰ってくる反応は、様々だった。大抵は、子どもらしい元気で「おはようございます!」と、返って来た。
母親が、子どもの頭を下げたり、母親の言うことを聞かない悪そうな子ども、親と離れるのが寂しくて、泣き出してしまう子。
その、一人一人を見た。
そうか。いろんな子がいるのか。自分が生活している範囲の狭さを、改めて感じた。いかに、狭い世界で、決まった人間としか関わっていないのかということを。