からっぽな街

名簿係で、やってきた子どもに初めて会うときも、心の底から明るい笑顔で話しかけることが出来た。
「おはようございます。」
母親と、手を繋いできた小さな男の子が、うつむいてあいさつをする。
「はい。おはようございます。お名前いいですか?」
「佐々木信明です。」
名簿から、名前を探し出し、蛍光ペンでラインを引く。小二かあ。小さいなあ。
「はい。オッケーです。今日、楽しみだね。体調はどう?」
もじもじとした男の子に、話しかける。キャンプネームは、『のぶぶ』としてある。
のぶぶは、答えることが出来ず、母親の顔を見上げる。母親は、のぶぶの頭を、野球帽の上から撫でる。
「ふふふ。元気です。すいませんね。この子、すごく緊張してるみたいで。」
「いーえ。最初ですから。楽しくしようね。」
コクリと、頷くのぶぶをかわいいと思ってしまう。まだ、ほんの小学二年生なのだ。
家族から離れて、山の中で三泊四日することは、さぞ、寂しかろう。