上野さんが口を開く。

「初めてここに来たのも、もう半年も前か。」

あなたに会ったとき、いきなりのプロポーズに驚いたことを思い出す。

「今日は、伝えたいことがあってきた。
 まぁ、だいたい分かるだろうけど.....」

照れたのか、右手で頭をかく。
そして深呼吸をして私の目を見つめていった。




「結婚して下さい。」





お店がざわつく。
動揺してはいけない。

「上野さん、私ーーーーー・・・」
「分かってるよ。君が彰平しか見えてないことも。」

それなら なんで?
なんで何度もプロポーズするの?
そんなに真っ直ぐな瞳で。


「俺は、君を一番幸せにしたい。
 ずっと笑っていて欲しい。隣で。
 君は覚えてないだろうけど、俺は君に笑顔をもらった。
 だから、次は俺が君に笑顔をあげたい。
 作り物の笑顔じゃなくて、本物の。
 心からの笑顔を見たい。」