今まで、何人もの男の人の腕に抱かれた。
その度に涙が出た。

私がどんどく汚れを増すのを感じるから。

どんどん黒くなってく。
そんな私を救ってくれる人なんで現れなくて。
自分は汚くなっていって。
その度に彰平が離れていってしまう気がするの。
目を閉じると蘇る、彰平の姿 声 しぐさ 笑顔。
記憶の中の彰平は18歳のままで。
だけど私はもう20歳で。
どんどん汚れて。
彰平もきっと私を冷たい目で見てる。


こんな私を救ってくれる人はいつか現れてくれるのかな?






朝。隣に寝る上野さんを起こさないように慎重に体を動かす。
置き手紙を書いた。

『もう、私に関わらないで下さい。
 店にも来ないで下さい。    瑠美依』

そう、私は”瑠美依”
”吉村 瑠璃”なんて、とっくの昔に捨てた名前。
その時の思い出も、全部


      ーー・・・忘れた。