『藤本 鈴』

鈴の家は私の家の目の前。

幼稚園のときから...ううん、赤ちゃんのときからずっと知っていた。


鈴は、昔っから明るくて 周りの雰囲気を和ませてくれて、私の自慢の幼なじみだった。


でも、いつからだったかなぁ。

私が鈴を1人の男の子として見るようになったのは。


中学1年生の夏の初旬。

鈴は私に言った。


『俺、彼女できた。』


自分の耳を疑った。

そんな言葉が鈴の口から出てくるとは思ってなかった。

ショックだった。

冗談だと信じたかった。

だけど、私は素直じゃないから口では別なことを言ってる。


「それで?私、鈴のことどうとも思ってなかったし。
 鈴が誰と付き合おうと私に関係ないし。」

「そっか。。。」


鈴の切ない声が私の心に刺さる。

本当は”私も鈴のことが好きだった”って言いたかった。

だけど、言えなかった。

そんなこと言ったら今までの関係が壊れてしまいそうだったから。

鈴に突き放されそうだったから。


私と鈴の距離はその日を境にどんどん離れていった。


毎日 顔を合わせて笑ってたはずなのに。

鈴の隣には誰がいるの?

鈴は誰と一緒に笑ってるの?

私の事どう想ってたの?

私は鈴を忘れようと決意した。