この真っ白な病院に来てから一週間が経った。
私の部屋にはたくさんの人が来る。
一緒に笑って、お菓子を食べて。
新しく”彰平君”と”桜ちゃん”っていう友達もできた。

そんな毎日のなかで、私の日課は”集中治療室”に行くこと。
あの男の子に会うために。


ドアを開けて中に入ると昨日と何一つ変わりない清潔な部屋。
そんな中に男の子が眠っている。

起きたらきっとビックリするんだろうな、とか思いながら彼を見る。
そして、少しためらいながらも彼の名前を呼ぶ。
「り......鈴君?」
名前を呼んでも何一つ変化のない彼を見て溜息をついた。
”目を覚ましたら話してみたいな”そんなことを考えていた。

「んっ...」
急に彼が声を出した。
目が少しずつ開いていって彼の、明るくて深い茶色の目を初めて見た。
彼の視線も気にせずに目を見ていた。

「瑠璃?」
彼が私の名前を呼ぶ。
「え??」
私の名前を呼ぶ彼を驚いて見つめる。
「なんで私の名前を知ってるの?」
「はっ?何言ってんの瑠璃?
 俺等、幼なじみじゃん。」
彼の言葉に耳を疑った。
「私達、初対面じゃない?冗談はやめて。」
目を見て言うと、彼は信じられないとでも言うように唖然としていた。

「私....部屋に戻る。」
そう言って彼の...鈴君の部屋を出た。