入学式のあと、教室に向かった。

教室の前に貼り出された名簿。

私の名前は1−Bに書いてあった。

名簿を見ていると見つけてしまった名前


  『藤本 鈴(ふじもと りん)』

一瞬 目を疑った。

だって彼は 私の幼なじみであり、私の初恋の人。

忘れようとしている人だったから。

だけど、同じ高校にいるはずがないから、同姓同名だと思って教室に入ろうとした。



廊下まで聞こえてくる教室のざわついた音。

緊張しながらも、思い切ってドアを開けた。



ドアを開けた瞬間、目の前で笑っている鈴がいた。
時間が止まったような...そんな感じ。



鈴を見てるとふいに目が合った。

「あれ...?もしかして瑠璃?」

昔の私の記憶のなかと変わらない声。

「.......うん。」

つい声がかすれてしまう。

「久しぶりじゃん♪2年ぶりぐらいだっけ?」

「そのくらいだと思うよ。」

カワイクない私。
素直になれればいいのに。

少しの沈黙が私達の間に流れる。

「1年間よろしく★」

鈴が笑顔で言った。
鈴のそのたった一言で今までの沈黙がなかったようになる。

「よろしく。」

鈴の笑顔につられ、私もつい笑顔で言ってしまった。



それから自分の席に着き、昔のことを思い出していた。