廊下を走ると、誰かにぶつかった。

「瑠璃じゃん♪
 あれ....泣いてんの?」

彰平が私の顔を覗き込んできた。

「イヤっっっ!!!!!!」

彰平の手を無理払ったと同時に目に入る彰平の傷付いた顔。

「俺、なんかした?」

彰平の声が廊下に響く。

「彰平は、私の事.........遊びだったんでしょ?」

声がかすれる。


なんか言ってよ...彰平?

今まで私に言ってくれた言葉は全部本物だった?

今まで私に向けてくれた笑顔は本物だった?

ねぇ、なんか言って...彰平。


沈黙が流れる。

「俺は、初めて付き合った彼女が死んだんだ。
 ーーーーー自殺で」

初めて聞く彰平の過去に耳を疑った。

「俺、彼女のことが好きで好きでたまらなくて。
 でも、彩花が.....彼女が傷付いてる事なんて全然気付いてやれなかった。」

彰平の目からは涙が流れる。

「それで、俺は次に好きになったやつは絶対に守るって決めたんだ。
 でも それでも、瑠璃が俺と一緒にいたくないんだったらいいよ、俺と別れても...」

彰平は私の目を見ていった。