あたしは大きな声を出してはいけないと思い、後ろを向いたままだった。
「こと?」
「ん?あ、ごめん。」
「誰かいたの?」
美波は入口を覗きながら言った。
「うん、康が通ったの。
向こうは気付いてなかったみたいだけど。」
「あ、そうなの?
声、かければ良かったのに。」
「でも、さっちゃんの試合が始まるし…。
結構遠かったから。」
「そっか…。
サッカー部も試合、後で少し見に行こうよ!
さっつーの試合の後はご飯食べるでしょ?」
美波はあたしの横に座りながら言った。
「試合…だったんだ。」
「え!?知らなかったの?」
「いや…試合の量が多すぎて覚えられなくて…。
今日だってこと、知らなかった。」
美波はあたしの言葉を聞いて笑った。

