康は、恥ずかしくてか、普段こんなことほとんど言わない。

なんだか今日は康が違って見えた。


「良かったじゃん!

櫻木が一緒のクラスだし。」


「んー、でも康も一緒が良かった…。

せっかく同じ高校に受かったのに…。」


あたしと康はほとんど成績に差がない。

だから、同じ高校に行けたけど、さすがに6クラスの壁は厳しかった…。



「同じクラスになるために、同じ高校にしたんじゃないじゃん?

大丈夫だよ。

そんなに離れてないから。」


「…ははっ!ありがとう!」


「何がおかしいんだよっ!」


「なんでもないっ!

ほら、早く行こっ!」


「…おいっ!」



恥ずかしそうに、少し頬を赤らめて言う康が、とても可愛いかった。

あたしは、康の腕を引っ張って、下駄箱へと歩きだした。