―――次の日の朝


「…おはよ!」


「…おはよう…。」


あたしは無理にでも、明るく振る舞った。


「…昨日は…ごめんね!

呼び止めたのに…先に帰っちゃって!」


あたしは歩きながら話した。

康は止まったまま、まだ家の前にいた。


「…琴音!

…俺…、昨日…嘘ついた。」


…ドキン…!

大きく心臓がなった。

あたしは思わず立ち止まった。


「昨日、…隣のクラスの神木と帰ってた。

俺、神木のこと……」


―――『好きなんだよ。』


そう、言うのかな……。

聞きたくない…。


あたしは耳を塞ごうと両手をあげた。

でも…ここであたしがまた逃げると、今度こそ、前へはもう、歩けない気がして…。

あたしは、あげた手を降ろした。