頑張る……か。
あたしはこの恋を頑張るべきなのかな。
だって……。
須藤にとって、あたしはたくさんいる中の1人なんじゃない?
特別だなんて思ってくれてないんじゃない?
あたしの事なんて何とも思ってないんじゃないかな……。
あたしの気分と同じように、今日はどんよりとした厚い雲が空に広がっていた。
仕事を終えたあたしは1人、会社を出た。
そして空をボーっと見上げていると、声をかけられた。
「聖菜ちゃん」
「あ……」
出た。品川!!
相変わらず気持ち悪い笑顔を浮かべている品川があたしに近づいて来た。
あたしは眉間に皺を寄せて自分の前で手をクロスさせる。
するとそんなあたしを見て、品川はクスッと笑った。
「聖菜ちゃんって……そうやって思ってる事隠そうとしないよね」
「余計なお世話です」
そんなの自分が1番知ってるっつーの!
それを会って数日しか経ってない奴に偉そうに言われたくないし。
すると品川はフッと笑った。
「キモ」
「ホント正直にストレートに言うね」
「悪い?」
はっきり言って全然耳に入ってこない。
興味がないだろうか?
聞こうと思えない。
ムスッとしていると、品川はフッと微笑んであたしの身長に合わせて身をかがめる。
「聖菜ちゃんさ……オレの事嫌いでしょ?」
「はい」
嫌いです!
大嫌いです!!!
すると品川は、ははっと笑い出す。
「やっぱ正直だ」

