ワザとやってるのか?
こいつは……。
そこらの女の子の上目遣いより可愛いってどういう事よ?
それが何だか悔しくてムッとしていると、須藤は再び顔を伏せて呟いた。
「きーちゃん胸、気持ちいい」
っておおい!!
「や、やめてよ!ヤラシイ!」
あたしはギョッとして須藤の頭をポカッと叩いた。
「ってぇ……」
拳骨を喰らった須藤は少し不機嫌そうにあたしを睨んだ。
でもすぐにまたあたしの腰に回している腕の力をギュッと強くして、あたしの胸元に顔を埋めた。
「ちょっとだけ……こうさせろ」
……っ。
「こうさせろって何よ。その上から目線」
照れ隠しにそう言って須藤を睨むけど、須藤は言い返してこない。
すると1分もしないうちに、規則正しい寝息が聞こえてきた。
「え……」
もしかして寝ちゃったの?
嘘……。この体勢で普通寝る?
「どうしよう……」
その腕から逃れようとしてはみるけど、抱しめる力が強くて抜け出せない。
あたしはため息をついて須藤を見下ろすと、幼い寝顔。
可愛い……。
何だろう。
母性本能ってやつ?
それが何だかくすぐられてる気がする。
あたしにもそんなものがあるのかって話しだけど。
てか……。
何か日に日にこいつを本気で拒否できなくなってきてる。
ホントなら殴ってやる事できる筈なのに……。
やっぱあたしおかしい。
柔らかいブラウンの髪に指を通して、思わず笑みが零れた。
いつもなら……殴ってたとこだけど。
今日は何だか特別な気がしたから……。
今日だけは許してあげる。
温かい須藤の温もりにいつしか安心感を覚えて、気づいたらあたしは目を閉じていた。
……――――――。

