くぅ……。
こいつは何て顔してんのよ。
澄んだ目があたしの目を覗き込んでくる。
まるで何かを訴えてくるような……。
何で格好いいうえに可愛い顔もできんの?
こいつ……ホントムカつくわ。
そう思いながらもいい加減視線に耐えられなくなってあたしは口を開いた。
「……入ってく?」
須藤を睨みながら聞くと、嬉しそうにニコッと笑った。
「入る」
そう言って須藤は傘の中に入ってくる。
それだけでドキッとしてしまう。
赤くなる顔を隠しながら歩き出す。
あたし……何してんのよ。
何で傘に入れてんのよ。
そう後悔する。
すると須藤が口を開いた。
「聖菜……」
「え?」
キョトンとしながら顔を上げると、須藤はムッとしながらあたしに言う。
「……低い」
「は?」
低い?
須藤の言ってる意味が分からなくて、あたしはさらにキョトンとする。
すると須藤は傘を見上げた。
それにつられて上を見上げると、あたしがさしている傘に須藤の頭がぶつかっている。
須藤は背中を曲げて入っている。
それもそうだ……。
須藤は180センチありそうだし、あたしとの身長差は30センチくらいある。
あ……。
それに気づいて須藤を見上げると須藤は不機嫌そうにあたしを睨んだ。
「てめぇ……さっさと上げろよ」

