むっかぁ……。
ムカついた。
今、すっごくムカッときた!!
あやしは水谷の胸座を掴んでガッと顔を近づけた。
「あんたさっきから、ふざけた事言ってんじゃないわよ?」
「……っひ」
怒りに満ちた声に水谷は怯む。
「あたしとあいつは何でもないの!赤の他人!」
「そ、そんな事……おれに言われたって」
もうすっかりビビっている水谷は震えた声で言う。
その姿を見て、あたしはため息をついた。
……男のくせに、みっともないなぁ。
あたしは胸座を掴む手を離して水谷を開放する。
するとその場に座り込む水谷。
情けないその姿を見てあたしは口を開いた。
「水谷!」
「は、はい!!」
「今後一切あたしをを茶化すな!」
「はい!」
「それから……合コンにも誘わないで!」
「はい!」
はぁ……。
大声で怒鳴ったら、何かすっきりした。
少し落ち着いたあたしはゆっくりと自分の席に座る。
すると水谷との一部始終を見ていた課長が震えながらあたしに声をかけてきた。
「柏原くん……」
「はい?」
キッと課長に目を向けると、課長はビクッとする。
そして言いにくそうに言った。
「今日……残業頼めるかな」
え……。

