【長編】唇に噛みついて



「お前、今俺に何したか分かってんの?」


「っう……知らないわよ。そんな事」


あたしは須藤の冷たい視線から逃れる為に視線を逸らす。
そして腕を組んでムッとすると、いきなり腕を掴まれた。


「ちょ!?」


驚いて目を見開くと、無表情で須藤はあたしを見下ろしている。
てか!
近い!


引っ張られたあたしは須藤の腕の中にいた。
あたしは慌てて離れようとすると、須藤はそれを拒否した。


「俺とのキス拒むなんて、いい度胸してんじゃん」


「は!?ん……!!」


意味分かんないって言い返そうとしたら、噛み付くように唇を奪われた。
須藤の冷たい唇があたしの唇を覆う。


「やめっんン……」


唇が離れてその瞬間声を出そうとしたけど、すぐに唇が塞がれて。
あたしの言葉は須藤の口の中へと消えた。


駄目……。
こんなの絶対よくない。


「はぁっ……」


解放されたあたしは呼吸が乱れて話す事ができない。
すると須藤はそんなあたしを満足そうに見下ろして口を開いた。


「ん。思い出した。聖菜とのキス」


そう言って微笑む須藤をあたしは睨んだ。


ホントに信じられない。
1度で終わらず2度までも。


そう思っていると、須藤はあたしを抱き寄せた。
そして耳元で囁く。


「……きーちゃんも。俺とのキス忘れられなくなったでしょ?」


そう言って軽くあたしの唇を甘噛みした。


「な!!」