キュッとりっちゃんの服を掴んで、あたしは額をりっちゃんへくっつけた。
「フラれたの」
零には真寿美ちゃんがいたから。
あたしを見てなんてくれてなかったから。
「……え?」
あたしの言葉を聞いたりっちゃんのあたしを抱きしめる腕が少し緩んだ。
その力が緩んだ時。
あたしは我に返って、りっちゃんから離れる為にりっちゃんの胸を押した。
そして固まっているりっちゃんを見上げて、涙を拭うと笑って見せた。
「ごめん。別れたのは本当だけど……気にしないで。あたしっ……1人で帰るね」
それだけを伝えると、あたしはすぐにりっちゃんに背を向けて歩き出す。
まだ涙が止まらない。
あたしは頬を伝う涙を拭って早歩きで歩く。
「っ……」
別れを告げたのはあたし。
この恋を終わりにしたのはあたし。
零を想って……別れを決めたのはあたし。
なのに……。
後悔してる。
何で別れちゃったんだろうって。
目茶苦茶後悔してる。
自分で決めた事を後悔してる自分が情けない。
でも……もっと情けないのは。
りっちゃんにすがりついてしまったあたし。
助けてほしいって甘えてしまったあたし。
すぐにりっちゃんの腕から離れる事ができなかったあたし。
「何してるんだろ……あたし」
いくらりっちゃんが優しいからって。
りっちゃんが幼馴染だからって。
りっちゃんがあたしを好きだからって。
甘えちゃいけないのに。
あたしの心の中にはまだ零がいるのに……。
「しっかりしろ……あたし……っ」
辛いからって弱っちゃ駄目。
ハンパな気持ちでりっちゃんに甘えちゃ駄目。
早く忘れるんだ。

