“……会いたかったから。何時間待ってでも会いたかったんだ”
あの時……零が言ってくれた言葉。
今聞いた言葉と、零の言葉が重なる。
「……っ」
駄目だ。
忘れようって思っても思い出しちゃう。
忘れられる訳……ないよ。
少しずつ瞳に溜まってくる涙。
その涙は、今まで我慢してたものが溢れるように出てきた。
「きー……?」
俯いてしまったあたしの変化に気づいたりっちゃんは、ゆっくりとあたしに近づいてくる。
「きー」
あたしの前に立ち止まったりっちゃんはもう一度あたしの名前を呼ぶ。
あたしは涙を拭って口を開いた。
「ごめっ……」
こんな姿見せちゃいけない。
心配かけちゃいけない。
そう思ったあたしは必死で涙を拭った。
するとりっちゃんは悲しそうな声で言った。
「何で……謝るの?」
「ごめ……」
「ねぇ……」
何も言えずに謝り続けていると、りっちゃんはあたしを引き寄せた。
そして頭を抱えるように、りっちゃんはあたしを優しく抱きしめてくる。
「何か……あった?」
優しいその声に、すがりつきたくなってしまう。
助けを求めたくなってしまう。
甘えてしまいたくなる。
「……別れた、の」
気づいたら涙声の声はそう呟いていた。

