【長編】唇に噛みついて



そう言いながら出てきた食券を手に取って、品川を睨む。
すると品川はまったく気にする様子も見せずに、品川は微笑んだ。


「ごめんね?でも……どうして別れちゃったの?」


何で……。
こいつに話さなきゃいけないんだよ。
はぁ……ウザい。


気づかれないようにため息をつくと、品川は微笑んだ。


「やっぱオレには話したくないかぁ」


「当たり前」


何で自ら傷をえぐるような事しなきゃなんないのさ。


「別にいいでしょ。あんたには関係ないし」


そう言ってそそくさおばちゃんに食券を渡す。
すると品川は当たり前のようにあたしの後をついてくる。


「オレが言うのもなんだけどさぁ。別れちゃったなら仕方ないと思う。失恋には新しい恋だよ」


失恋には……新しい恋、か。
そうだよね。
別れたんだもん。失恋したんだよね、あたし。


「偉そうに語るなぁ。もうどっか行ってよ」


あたしは振り返ってシッシと追い払う仕草をして歩き出した。
すると品川はそれを見て何も言わずにその場から動かなかった。


新しい恋。
そんなのする気になんて、今はなれないよ。
今は忘れようとするので一杯一杯だもん。