「さて、どこ行こうかな?」
鼻歌なんか歌いながら歩いて行くりっちゃんを後ろから見上げてあたしは小さなため息をついた。
何かりっちゃんもある意味、強引かもしれない。
全然あたしの意見聞いてくれないもん。
そう思いながら歩いていると、りっちゃんはある場所で立ち止まった。
それに気づいて顔を上げる。
するとりっちゃんはあたしを見下ろして口を開いた。
「ここでパァッと遊ぼ」
満面の笑みのりっちゃんを見て、あたしはチラッとその場所を見つめる。
「え……?遊園地?」
少し眉間に皺を寄せると、りっちゃんは笑顔のままあたしの腕を引く。
そしてチケット売り場へ向い受付の人に声をかける。
「すいません。大人2枚」
「はいよー」
受付のおじさんはあたし達を見て、ニッコリ微笑む。
りっちゃんはチケットを受け取って、あたしに差し出してきた。
「あ、いくらだっけ?」
ハッとしたあたしは慌ててバッグから財布を取り出そうとすると、りっちゃんの手によってそれを止められた。
「え?」
伸びてきたりっちゃんの手にキョトンとして見上げる。
するとりっちゃんはニッコリ微笑んだ。
「オレが払うからいい」
「え?でも……」
いくら何でも悪い気がする。
そう思い再び財布に手を伸ばす。
するとりっちゃんは少し眉を下げて微笑んだ。
「いいから。オレが付き合ってもらうんだから。奢らせて」
そう言ってりっちゃんは首を横に振る。

