そっと笑顔を作って、りっちゃんを見上げる。
するとりっちゃんはあたしの腕を掴むと、歩き出した。
「りっちゃん!?」
突然の事で目を丸くして、慌ててりっちゃんを呼ぶと振り返ったりっちゃんは満面の笑みを浮かべる。
そして空を見上げると、嬉しそうな声で言う。
「いやぁ、いい天気だね。おでかけ日和だ」
その言葉につられて空を見上げると、雲ひとつない青空が広がっている。
ホント……いい天気、だな。
ボーッと眺めていると、視線に気づいてりっちゃんを見る。
するとりっちゃんは優しい笑みであたしを見ていた。
……あ。
パチリと合う視線に止まっていると、りっちゃんはフッと笑った。
「きー、どこか行きたいとこある?」
「え……」
行きたいとことか、全然考えてなかった。
どうしよう……。
てか、零がいるのに……。
零が……。
いるのに。
またあたしの気分は落ち込む。
やだな。
また……泣きそう。
ギュッと出てきそうな涙を堪える為に、唇を噛み締める。
俯いて黙り込んでいると、ゆっくりとあたしの腕が再び掴まれる。
それに気づいて顔を上げる。
するとそこにはまた優しい微笑み。
「……行こっ?」
そう言って強引にりっちゃんは歩き出す。
大股で歩くりっちゃんについて行くのは大変で、あたしは小走りになってついて行く。
「待って!りっちゃんっ……」
あたしに構わずに歩いて行くりっちゃんに声をかけるけど、りっちゃんはまったくそれを聞き入れない。

