そう聞いてみると、りっちゃんは一瞬黙り込んだ。
そしてしばらくして口を開く。
『何もないならさ。一緒にどっか行こうよ。きーの好きなとこでいいからさ』
「え……」
『すぐに元気になれるなんて思ってないけどさ。行こうよ、……気晴らしに』
気晴らし……。
りっちゃんは、気を遣ってくれてるんだ。
その優しさに、目頭が熱くなる。
流れてくる涙を、電話の向こうのりっちゃんにバレないようにあたしは必死で堪える。
なかなか返事をできないでいると、りっちゃんは口を開いた。
『よしっ、迎え行くから。用意しといてね』
「え?ちょ……」
プツ……プー……プー……。
切れちゃった。
てか、切られちゃった。
どうしよう。
来るって言ってたよね?
いくら幼馴染のりっちゃんでも、この格好はまずい。
そう思いながらあたしは、自分の格好を見つめる。
そして慌ててクローゼットを開けて、洋服を探す。
化粧をして、髪を整えて……。
猛スピードで終えると、丁度インターホンが鳴らされた。
……来た。
あたしは慌ててバッグを手に玄関へ向かい扉を開ける。
すると……。
「よっ。おはよ」
満面の笑みのりっちゃんが立っていた。
いつもと違って髪もワックスで遊ばせ、違った印象のりっちゃん。
ボーッと見つめ、我に返ったあたしは慌てて口を開いた。
「……おはよ」

