そう言ってりっちゃんを見上げたままでいると、りっちゃんは少し眉を下げた。
そしてあたしを見下ろしながら口を開く。
「きー……本気で須藤と付き合ってるの?」
「え?」
突然の質問に喉が詰まる。
掠れた声で聞き返すと、りっちゃんは表情を変えずに再び口を開いた。
「いや……どうなのかなって思ってさ」
そう言ってりっちゃんは目を伏せた。
何だかりっちゃんの質問を聞いて、胸のどこかがきつくなった気がした。
あたしは作り笑顔を浮かべながら頷いて見せる。
「うん。本気だよ?」
りっちゃんを見つめながら答えると、りっちゃんは一瞬顔を曇らせた。
「ホントに?それはきーだけとかじゃないよね?」
「え?」
何で、そんな事聞くんだろう。
淡い違和感を感じあたしは少し困ってしまった。
するとそんなあたしの表情から今のあたしの気持ちを読み取ったかのように、りっちゃんはフッと困ったように笑った。
「いや……何か聞き方がおかしかったよね。須藤ってさ、今までいろんな女との噂が堪えなかったからさ。教師の中でも一目置いてる存在の奴ときーが付き合ってるって知って、ちょっと心配になっちゃったっていうか……」
言葉の整理がついていないのか髪をクシャッとしながら話すりっちゃん。
心配そうな顔をしながらりっちゃんはあたしを見下ろすと、強い口調で言った。
「こんな事オレが言うのもなんだけどさ。須藤は気をつけた方がいいよ」
何で……。
そんな事、言うの?
何だか須藤の事を悪く言われているような感じがして、あたしは拳をギュッと握った。
「知ってるよ」
「え?」
フッと上を見上げてはっきりと言い返すと、りっちゃんは目を少し開いた。
「言われなくても、零がとんでもない女たらしだったのは知ってる」
だって、あたしこの目で見たもん。

