【長編】唇に噛みついて



そうよ!!
あれは防衛本能ってやつよ!


見上げて睨むと、そいつはフッと笑った。


「何か……あんた、強気だね」


あたしの顔を覗きこむように顔を近づけてくる。
整った顔のせいで、あたしは不覚にも少しドキッとしてしまい顔が赤くなる。


「な、何よっ。悪い?」


あたしはさらに睨みつけると、そいつはマジマジとあたしを見つめる。


何なのよ!?
こいつは!!


しばらく睨み合っていると、そいつは満足そうに微笑んだ。


「ん。いいもの見つけた」


って……は?


あたしはキョトンとする。
するとそいつはあたしの腰に腕を回してあたしを引き寄せてきた。


「ちょっと!何すんのよ!?」


あたしは突然の事にパニックになってジタバタ抵抗する。
そんなあたしの腕を掴んで顔を近づけてきた。
そしてフッと余裕の笑みを浮かべてあたしを見下ろす。


「俺、あんたに興味持っちゃった♪」


「は!?」


興味!?


あたしは顔を強張らせながら少し距離を置いた。


「それは……人間的な意味で?」


そう空笑いしながら聞くと、そいつはサラッと。


「いや?性的意味で」


そう言った。
あたしは込み上げる驚きと怒りに手のひらを振りかざした。


「ふざけんな!!」


パシィン!!!