【長編】唇に噛みついて



「どーも」


そう言ってあたしに向けて微笑む男。


こいつっ……!!
あの時のムカつくイケメン野郎……!


すると間島くんはニコッと笑った。


「こいつが須藤零です」


あたしは思わず口を金魚みたいにパクパクした。
すると真弓はニッと笑った。
そして間島くんの腕に自分の腕を絡めて顔を見上げている。


「じゃ、どっかご飯食べに行こっか♪」


「はい♪」


幸せそうにあたし達の前を歩き出す2人。
するとそいつはあたしを見下ろしてフッと笑った。


「この前あんな別れ方して……会いたかったんですよ?」


そう言って微笑むけど、こいつ……。
目が笑ってない。


するとあたしはそいつの左頬に張られているガーゼを見て笑顔を作った。


「何か……ほっぺ痛そうだけど、大丈夫?」


そう言ってあはは……って笑うと、笑顔は一変して無表情になると、そいつはあたしに顔を近づけて言った。


「誰のせいだと思ってんだ?自分でやったの覚えてないの?」


ひえぇぇぇぇぇぇ……。
そうですね。あたしがやったんですよね。


「あらー?お酒飲み過ぎてちょっと……覚えてない、かなぁ?」


あたしは引きつった笑顔で知らないフリをすると、そいつは冷たい目であたしを見下ろした。


「覚えてないフリすんなよ?」


って……バレてますか。
ってか!!!


「元はといえばあんたが最悪な事しそうだったからでしょ!」


ここからあたしの逆ギレ。