【長編】唇に噛みついて



その声に振り返ると、これまたイケメン。


「あ、お父さんお帰り!」


椎くんの言葉でその人が一体誰なのかすぐに分かった。


お父さん……。
お父さんに見えないくらい若い。
でも、須藤にそっくり。
何か須藤が少し大人になったって感じ?
須藤ってお父さん似なんだ。
てか、この家族は一体どんな生活をしているんだ。
何でみんながみんな美男美女なのよ。


そう思っていると、お母さんが口を開いた。


「あなた、零が彼女を連れて来たのよ」


その言葉にお父さんはあたしに視線を向けた。
すると櫂さんが口を開いた。


「柏原聖菜ちゃん。おれの1個下」


ジーッと見つめられて、あたしは息を呑む。
何か言われたりしない?
“息子は渡さん!”なんて言われたりしない!?


するとお父さんはニコッと笑った。


「聖菜ちゃんか。そうか。うちの息子をよろしくな」


……あれ?
顔に似合わず、優しい?(失礼)


「はい!こちらこそ」


そう言うと、お父さんは微笑んだ。


「よし。じゃ、食事にするか」


その声にみんな歩き出す。
すると須藤は無表情のまま歩き出した。
だからあたしはその後を慌ててついていくと、またまた立派なリビングに入った。