すると櫂さんは、ハッとして片方のあたしの腕を掴んだ。
「待った!どこに行く気だよ!」
そう言ってあたしの腕を引っ張る。
「お前に言う必要ねぇだろ」
そう言って須藤も腕を引っ張る。
痛い痛い!!
両腕を引っ張られて、あたしはグラグラ左右に揺られて声にならない。
もう何なんだ!この兄弟は!
人を取り合うように引っ張って!!
引っ張られる人の気持ち考えなさいよ!!
「いい加減にして!痛いっつーの!」
大声で怒鳴ると、須藤と櫂さんはあたしの腕を掴む手を離した。
「「あ、ごめん」」
同時にそう言って大人しくなる2人。
2人を見つめてあたしは大きなため息をつく。
すると須藤はしばらくして、キッと櫂さんを睨みつけて口を開いた。
「俺は絶対行かないからな」
その言葉に櫂さんは眉を下げて困った顔をした。
「それは困る」
そう言うと、櫂さんはいきなりあたしの腕を掴んで引っ張る。
「え?」
突然の事で間抜けな声を出してキョトンとしていると、櫂さんはあたしを後ろから抱っこする。
「ってめ……」
目を丸くして驚いた顔をする須藤に、櫂さんはニッコリ微笑んだ。
そしてあたしを見下ろして口を開く。
「聖菜ちゃん、今日せっかく会えたんだし。これも運命だと思わない?」
「はい?」
キョトンとして、あたしは今自分が置かれている状況が理解できずに櫂さんを見上げる。

