【長編】唇に噛みついて



「23歳かぁ……。見えないね」


弟もそんな事確か、言ってたな。
兄弟は考え方とか感じ方って似るもの?
まぁ、どっちにしても。
今の言葉は嬉しいものではない。


少しムスッとしていると、お兄さんはいきなりあたしの肩をバシッと叩いた。


「痛っ」


痛みと驚きに目を丸くすると、お兄さんは微笑んだ。


「おれの1個年下だね!」


「あ、そうなんですか……」


「うん!」


何だろう、このテンションの高さは。
須藤と似たような顔して、性格が正反対。
この人の話を聞いているだけで、気疲れする……気がする。


チラッと須藤を見上げると、須藤も呆れた顔をしている。
その表情を見て、あたしと同じ気持ちである事を察すると、あたしは苦笑いした。
するとお兄さんは、またまた明るい声で言う。


「おれの事はお兄ちゃんだと思ってくれていいからね!」


「……はぁ」


「あ、そうだ。おれの事、お兄ちゃんて呼んでね♪」


「いえ、ぜひ櫂さんと呼ばせていただきます」


お兄ちゃんなんて……。
彼氏の兄貴を呼べるか!!
しかも1歳しか変わらないっていうのに!
はぁ……。
この兄弟って変わってるんだな。
でも、何でだろう……。
櫂さんを見てると、須藤が普通の人に見えてくる。


なんて思いながらあたしは、


「櫂さんかぁ~……。うん、その呼び方もなかなかいいな」


満足そうに独り言を呟く櫂さんを見た。
すると、須藤は呆れたようにため息をついてあたしの腕を掴んだ。


「もう、俺等行くから」


そう言って須藤は歩き出そうとする。