【長編】唇に噛みついて



…………はい?
今、須藤って言った?


「あ、気づいてくれた?おれ、零の兄貴です」


キョトンとしているあたしを見て、ニッコリ笑う。


兄貴……?
え……。


「えぇ!?」


お兄さん!?


驚いて口をパクパクさせていると、お兄さんは笑った。


「あはは、驚いてる」


そう言ってのん気に笑っているけど……。
そりゃあ、驚くでしょ!
このイケメンが、須藤のお兄さん!?
兄弟揃ってイケメンかよ。


ジッと見つめてみると、何となく“兄”だっていう事に納得できなくもない。


顔が整ってるとことか。
目元とか口元が似てる……。
でも、お兄さんの方が優しくて親しみやすい印象を受ける。
須藤が優しくなったらこんな感じなのかなって思う。


「そんな見つめられると、照れちゃうなぁ」


「え?」


無意識に見つめていると、お兄さんはニコッと笑って頭を掻いた。
ハッとして目を逸らすとお兄さんはあたしの顔を覗き込んできた。


「……ねぇ、年いくつ?」


「え?」


キョトンとすると、目をクリッとさせたお兄さんがあたしを見つめてくる。


「何歳?」


「23……です」


あ、もしかして……。
高校生相手に何やってんだよとか思われたりしちゃう?
正直に普通に言っちゃって……後悔。


遠慮がちに顔を上げてみると、お兄さんは微笑んだ。