それから無言で歩いて数分。
あたしは首根っこを掴まれたまま。
……クスクス。
そんな笑い声が通りすがりの人から聞こえてくる。
そりゃそうだ。
大の大人が、制服姿の高校生に首根っこ掴まれて引っ張られてるんだから。
モデルみたいな体型のただでさえ目立つ須藤に引っ張られるあたしは、きっと変に違いない。
俯いて歩いていたけど、もう限界。
「いつまで掴んでるのよ!」
そう言ってあたしは、須藤の腕を掴んで振り払う。
すると須藤は足を止めてあたしを見下ろした。
黙って見つめてくる須藤を睨んで、あたしは怒鳴る。
「あんた少しは掴まれてる方の気持ち考えなさいよ!」
そう言うと、須藤は無表情のまま口を開いた。
「聖菜がどっか行くと思って」
はぁ!?
こいつっ……。
「どこまであたしを猫扱いしてんのよ」
ボソッと呟いて須藤を睨むと、須藤はフッと微笑む。
そしてグッとあたしに顔を近づけてくる。
その表情は、意地悪がにじみ出ていて思わず顔が引きつる。
「……そんな事より、随分あいつと仲良さそうじゃん」
「え?」
あいつって……品川の事?
キョトンとしていると、須藤はすぐに口を開いた。
「何でもねぇ……」
そう言って須藤はあたしから視線を外した。
……もしかして、ヤキモチ妬いてくれてるの?
心の中で問いかける。
思わず須藤を見つめていると、須藤は眉間に皺を寄せる。
「……何?」

