【長編】唇に噛みついて



眩しさに目を覚ますと、あたしはゆっくりと目を開けた。
するとあたしの顔を覗き込んでいた須藤と目と目がパチッと合う。


あ……。


須藤に寄り添うように眠っていたあたしは、少し離れようと寝返りを打とうとした。
でも須藤はそんなあたしの腰に腕を回して引き寄せる。
そして優しい微笑みであたしを見下ろした。


「おはよ……よく眠れた?」


その笑顔に頬を赤く染めながら、あたしは布団で顔を隠して頷いた。


「うん……須藤こそ、よく眠れた?」


そう聞き返すと、満足そうな笑顔を見せてくれる。


今の笑顔……。
須藤は気づいてるのかな。
いつもと違う笑顔してるって事。


ボーっと見惚れていると、須藤は無表情で口を開く。


「何?」


「え?あ、いや……笑顔が可愛かったから」


って、は!!
言ってしまった!思わず言ってしまった!


バッと口元に手を置いて慌てると、須藤はニヤッと笑う。


ほら……。
また、何か企んでる笑顔。
この笑顔を見せる時は、ろくな事言わない。


「へー見惚れてたんだ」


ほらね。
また意地悪にスイッチ入った。


「う……別に」


そう言って顔を逸らそうとすると、それを許さない須藤。
あたしに覆いかぶさるように馬乗りになると、意地悪な笑みであたしを見下ろす。


「何?そんな目で見つめてきて、誘ってんの?」


「さ、誘ってない!」


またそっちに話を持っていく!
ホントにそういう事しか考えてないらしい……。