【長編】唇に噛みついて



ポッと頬を赤らめていると、須藤はフッと微笑んであたしの耳元に顔を近づける。


「このまま聖菜の家で……脱がしてやりたい」


「っな!!」


こいつは!!
いきなり何を言い出すんだ!


須藤を見上げると、須藤は意地悪な笑みを浮かべている。
それを睨むように見つめていると、須藤はあたしの腰に腕を回す。
そしてグッと顔を近づけた。


「……どうする?」


どうするって……っ。


あたしは顔をフイッと背けて、口を開いた。


「花火大会に行くに、決まってるでしょっ」


そう言って歩き出すと、須藤はあたしの後ろをついてくる。
そしてあたしの腕を掴んであたしを壁に押し付ける。


!!!!!?


突然の事でびっくりして目を見開くと、須藤はニヤッと笑う。


「やっぱ今の質問なし。きーちゃんの事襲いたい」


「っは!?」


目を見開いていると、須藤は顔を近づけて唇同士が触れそうになる。
瞳を見つめられて、あたしの顔は真っ赤になっていく。


どうしよう……。
この目つき、本気だ。
あたし……大ピンチー!!!


ギュッと目を瞑って拳を握ると、須藤はクスッと笑ってあたしのおでこにキスを落とした。


……え?


予想していなかった場所へのキスにキョトンとしていると、須藤はフッと微笑んだ。


「嘘だよ。今は我慢してやるよ。お楽しみは夜にとっとく」


そう言って真っ赤になって固まっているあたしの手を握った。


……は?
嘘?……はい?