沈黙が、またよみがえる。
俺は、
「谷澤くん、捕まえた」
思ってもみなかった人物に捕まった。
「谷澤くんを捕まえたら、
なんでもお願いができるんだよね?」
「え・・・・・あぁ、みたいだけど」
「じゃあ、あたしのお願い聞いてね」
俺は膝付いて座ったまんまで、
福森はその俺の前にしゃがみこんで。
そんな格好のまま。
福森はすらすらと話し出した。
「あたしね、お父さんいないの」
「え・・・・・・」
「あたしが小学生のときかな。
両親が離婚しちゃって。」
辛いはずの過去をを、
まるで人事のように淡々と。
福森の話し方からは、
両親が離婚した“悲しみ”が感じられなかった。
「つい最近まであんなに楽しくて、
あんなにみんなで笑いあったのに、
なんでこんなことになったんだろう。って。
結婚したときには、
神様の前で永遠を誓ったのに、
どうして永遠じゃないんだろう。って。
愛し合ってたはずなのに、
幸せだったはずなのに、
永遠なんて・・・ほんとはないんだ。って」

