明西さんは両手で涙を拭いながら言ってきた。これほど人に思われているとは俺は幸せものだなと思い、そんなに俺のことを思ってくれている明西さんが大切な存在であることが分かった。だから明西さんにも幸せになってもらおうと決意した。

「分かった。こんな欲張りな俺でよかったら側にいてください。」

「はい。私の気持ちに答えてくれてありがとう。ずっと側にいさせてもらいます」

俺の腕の中で振り返りながら強く抱きしめて、顔を俺の胸に埋めながら答えてくれた。俺も負けじと絶対離さないと思いながら明西さんを抱きしめた。今は周りなど関係なく、二人だけの世界を作っていた。そして俺たちは夜の空に光っている星に見守られながら心温まる時を過ごしていた。

「そろそろ帰ろうか?」

「うん。そうだね」

そのままの状態で5分から10分くらい抱き合い続けて日が完全に落ちたことに気づいて腕の中にいる明西さんに帰るか聞いた。すると明西さんは満面の笑顔で答えてくれた。

「もう暗くて危ないから家まで送るよ」

「本当?じゃあお言葉に甘えてお願いしまーす」

腕の中から開放すると同時に明西さんは俺の右腕に抱きついてきた。もう今となっては照れる必要もなかった。

「じゃあ帰るか」

「うん。帰ろう」

こうして俺たちは暗い夜道を二人で明るい笑顔をしながら家に帰った。