そして俺はそのまま試合の最後の挨拶だけちゃんとして何も喋らないまま荷物を置いていた所に座り込んだ。

「最後まで粘ったのに残念だったなー、だけど最後のダブルフォルトは無いよな」

「確かにそうだな、あいつ意外にプレッシャーに弱かったんだな」

近くにいる奴らの言葉が耳に入ってきてその一言一言がすごく悔しかった。負けは負けでも最後にダブルフォルトで自滅して負けるほど悔しい負け方は無いからである。なんで最後にダブルフォルトをしてしまったのかと考えていると段々自分のことに腹立ってきていた。

「くそっ、何をやってんだ俺は・・・かっこ悪ぃ」

そう言いながら一人で落ち込んでいたら花原さんが目の前に近づいてきた。

「大丈夫だよ、またこれから頑張りましょ高畑くん」

そう花原さんは優しく言ってくれたが俺はそう言われたのが悔しくなって余計暗くなってしまった。

「悪いんだけどほっといてくれない」

「そんな、ほっとけないよ、そんなに落ち込んで」

「ほっといてくれ、どうせ本心は俺のことを笑ってんだろ」

あまりの悔しさに何にも悪くない花原さんの言葉を遮って強く怒鳴ってしまった。

「そんなことないよ、何で私が」

「いいよ、そんな自分の本心を隠すようなことをしなくても分かって」

俺が俯きながらも怒鳴りながら言っているとぺチンッと花原さんが俺のほほを思いっきりピンタした。

「何すん・・・」

花原さんに叩かれて痛む頬を手で押さえながら顔を上げて怒鳴ろうと声を出した瞬間、目の前に花原さんが涙を流しながら怒った顔をしているのが見えてのどに何かか詰まったかのように声が出なくなってしまった。

「高畑くんの馬鹿・・・私そんなこと思ってないのに・・・」

花原さんは泣きながらそう言って俺の前から走り去ってしまった。俺は呼び止めようとしたがなぜか声が出なかった。

「何やってんだ俺は」

そう言って俺は両手で自分の髪の毛を鷲づかみしながら俯いて声を堪えながら泣いた。俺は取り返しのつかない事をしてしまったのだ。