ミックスラブルス

水村はカウントを言った後今度はスライスサーブを打ってきた。だが水村のサーブが俺のちょうど打ちやすい高さで飛んできてくれたからこれはチャンスだと思って思いっきりストレートにフラットを打ち込んだ。しかし惜しくもサイドアウトをしてしまった。

「おっしぃ~」

俺はフラットがアウトしてしまったのが悔しくって騒ぎたくなったがここは冷静になって次を考えなければいけないところだと考えて落ち着くように深呼吸をしてなぜ今フラットをミスしたのかを考えた。

「デュース」

水村は少し焦っているのか慣れない手つきでクイックサーブを打ってきたが球はネットにかかってフォルトになった。水村のセカンドサーブはスライスサーブであった。俺は安定した打ち方で逆クロスにリターンした。この後打ち合いは長く続いた。そして24球目、水村が打ちミスして俺側のコートの前側に高めの球を打ってきた。俺はこの機を逃さないと思いながらその高く跳ね上がった球にジャンプしながら打つ構えをした。

「もらった」

俺は大声でそう言いながら思いっきり水村のコートにジャンピングショットを打ち込んだ。水村はその場を動くことも出来ずただ球を見ているだけしか出来なかったらしい。

「よっしゃあ」

俺はだんだんこの勝負に勝てる自信が出てきたのを感じて、それが嬉しくって大声で喜んだ。

「アドバンテージ輝龍」

ここを取れば1ゲームリードだと思いながら俺はいつ打たれても対応できるように身構えた。水村は再びフラットサーブを打ってきたがさっきまでのとは比べものにならない速度で飛んできた。

「なに」

予想外のフラットのスピードにびっくりしてしまったがギリギリで弱々しく見える少し小細工したリターンを水村の正面に打ち返すことができた。

「もらった・・なに」

水村がフォアハンドで強打しようと身構えた目の前に落ちた俺の打った球はサイドスピンがかかっていたのだ。球は落ちた後水村のバックサイド側に曲がって跳ね上がった。水村は上半身を反転させて対応しようとしたが球のスピードに間に合わずラケットを降り遅れて球の当たらなかった。

「あんなに曲がるスピンボール始めて見た」