(……俺はこどもだ)




靴を脱ぎ、内屐にはきかえる。




その時、どんっと誰かの肩にぶつかった。





視点を軽い痛みの方に向けると、同じクラスであろう女子が立っている。



恐れを顔に表して。





俺、今まで誰とも話してなかったから、怖がられているのだろう。




「……わりぃ」




俺は謝る。



なるべく優しい声で、なるべく普通の表情で…。




「ぁ、うん、…こっちこそ」




女子は驚いたような顔に変わる。



……女子って、表情コロコロ変わるんだな。





昨日の華の笑顔を思い出し、思う。




俺にも人間くさい感情が残っていたんだ…と。





あぁ、ダセェ。




俺らしくないって。







自分自身に戸惑いながら教室へ歩きだした。









――ガラガラッ




俺が教室の扉を開けると、みんなの視線が俺に集中する。




……なんなんだよ。




奴らの目なんか、気にしたことなかっただろ、俺。




俺は何事もなかったように席につく。







「……ねぇ」